200215

 

土曜日は美術館と高級なスパに行くという贅沢な一日を過ごした。

 

  •  北海道151年のヴンダーカンマー

気になっていた企画展。

展示室内は撮影不可だったので入り口のみ。

 

ヴンダーカンマー、日本語で言うと「驚異の部屋」。

金持ちの道楽で古今東西様々な珍奇な品や博物的なものを収集したコレクションのことであるが、この企画展は北海道にまつわる博物的、歴史的な様々な資料がテーマごとに並び、それぞれのテーマに合わせ現代の作家の作品が展示してあるという一風変わったものとなっている。

 

ここ一年、仕事柄というのもあるが北海道という土地の歴史について調べたり興味を持ったりしていたのでとても見ごたえのある内容だった。

地図や写真、図などで昔の街並みや生活、開拓の様子がよく伝わってくる。

自分の住んでいる土地がどのように成り立っているかを知るのはとても楽しい。

 

gazo.library.city.sapporo.jp

吉田初三郎「北海道鳥瞰図」はタイトル通り、北海道を鳥瞰で描いた図である。
かなり大きな作品で、当時の北海道の町の様子が子細に描き込まれている。
この作品が描かれたのは1936年なのだが、厚岸臨海実験所が描かれていてびっくりした。

仕事が暇なときに変わった建物について調べていたんだったか研究施設について調べていたんだったか忘れたが、そんなときに厚岸臨海実験所について知ったのだが、いつからあるとかは全然知らなかった。
なんと1931年にできた施設らしく、そのモダンな外観からもっと新しい施設なのかと思っていた。

施設の沿革や外観などは下記のリンクに詳しく載っている。

 

www.fsc.hokudai.ac.jp

www.docomomojapan.com

博物画もいくつか展示があったのだが、

亀井鑑太郎「日本重要水産動物図」という図録のシリーズがよかった。
様々な海洋生物を描いているのだが、それぞれの生物の描かれ方のタッチがなんともいえない味わいがあってニヤニヤしてしまった。
特に鯨の仲間が描かれたやつがよかった。
ラッコの表情がブサイクでたまらん。

こちらは金沢大学の資料アーカイブにあったのだが、展示されていた北大所蔵のものは図の下にカタカナ右左で生き物の名前が書かれていて、それもすごくよかった。

 

kuvm.kanazawa-u.ac.jp

北大博物館に所蔵されているムラージュ標本(皮膚病を再現した標本)も借りてきていてすごいなと思った。

標本類の中でもなかなかショッキングなものなので展示には注意書きがしてある。
しかし、ムラージュ標本自体は大変貴重なものであり、修造・展示している場所がそもそも少ない。
よく持ち出せたな。

 

他にも炭鉱や鉄道、博覧会やオリンピック関連の展示があって

どれも面白かった。

 

オリンピックや博覧会、雪まつりや北海道観光のアピールポスターなどのデザインは「日本でありながら異国」という打ち出し方が見て取れる。

歴史の浅い土地というのもあるが、「北海道」という場所のブランドイメージを一から作っていける自由さのようなものが感じられた。

しかし一方で先住民であるアイヌの観光利用は元々の文化を尊重したものではないという問題もある。

 

北海道という土地の持っている光と影を感じられるよい展示内容だった。

 

  • 近美コレクション

 

コレクション展は「友田コレクション 西洋版画の名品」「追悼 松樹路人展」「瀧川嘉子展」の3つ。

友田コレクションは昨年末に近代美術館に寄贈されたそうだが、シャガールやルドンの作品もあったりしてそうした貴重な作品が近美に収蔵されるというのはすごいなと思う。

 

松樹路人の絵は最初はキュビズムの影響の感じられる作風だったが後年は独自の画風を獲得していく。

なぜ裸婦に靴下、、、

 

瀧川嘉子の作品はガラスの板を組みあわせたものなのだが、見る角度によって表情が全く変わる。

透明なガラス特有の境界が曖昧さ、光の反射の作り出す迷宮といった趣がある。

とても好きな感じだった。

 

 

 

昼は適当に入ったよくわからないインド料理屋のタンドリーチキン丼。

 

  • 高級スパに行った話


札幌駅に温泉があるなんて私は知らなかった。
なんでも天然温泉らしい。

私は先日、ソレダメで川村さんがサウナの入り方について学ぶやつを見ていたため、サウナに興味を持っていた。
最近は心身ともに疲弊していたため、たまにはでけぇお風呂でのんびりゆっくりしてだらだらしたいと思った。

私は公衆浴場が嫌いだ。
不特定多数の人間が集まるため、様々な人がいる。
掛け湯をせずに湯船につかる者、風呂場で歯磨きをするもの、泣き叫ぶ子供、床に落ちている絆創膏、休憩室ででかい声でしゃべるおっさん、、、

あとは私はひどいくせ毛なので髪の毛のセットをするのがとても大変だというのがある。
ドライヤーを掛けたあとにアイロンをしないととてもじゃないが外を歩けない。
あと、化粧をしなければならないのもめんどくさい。

温泉の開放感とそういう諸々を天秤にかけたとき、どうしても後者のほうが勝ってしまっていたので、あまり温泉に行きたい!という気分になることはなかった。

しかし最近の私は「今までやってなかったことを積極的にやる」を行動指針に掲げているので、「一人で温泉に行く」というのもアリなような気がしていた。

やりたいと思ったことはすぐやるべきなので、札幌市内のスパを調べた。

近所にも温泉やスパやスーパー銭湯はいくつかあるのだが、目に留まったのは札幌駅直結のスカイリゾートスパ「プラウブラン」だ。

スカイリゾートスパ、、、なんと魅力的な響きであろうか。
“「プラウブラン」とは、「月の島」という意味のインドネシア語”だそうである。
名前だけでもゴージャス&ラグジュアリー!!

18歳以上入場不可、そしてほかの公衆浴場と比べるとややお高い価格設定、これは客がフィルタリングされているということである。

そして何より、風呂場からの眺望。
地上22階からのパノラマシティービュー!!
これはこの立地ならではであろう。
他の市内の公共浴場は「眺め」には期待できない。

それだけの条件が揃っていれば、それなりのお値段はする。
たかだかちゃぽんとお風呂に入るだけなのにCDアルバムが1枚買えるお値段を払うのかお前は!?(ヲタクはすぐ金をCDの値段に換算する)と思ったが、私には突然付与されたじゃらんポイントがあるのだ(ばばーん!)

よくわかんないけどじゃらんから

“抽選で1500ポイントあげちゃうYo! ただし2/29までに使ってね(ハート)”

というメールが今月頭に届いていたが、旅行は5月だし流しちゃうか~もったいない。と思っていたところだった。ここで使わないでいつ使う?
林先生が昨今口にしなくなったひとことが私の頭の中でこだまする。

今でしょ!

日帰りでじゃらんポイントを使うという発想がなかったので、今度から突然ポイントが付与されたり今月で失効するぞと脅しつけられたときは積極的に日帰り温泉に使おうと思った。

そんなこんなで私のような貧乏派遣社員浪費ヲタク事務員が高級スパの予約ができたのだ。じゃらんはすごいね。電話かけなくても予約ができるから!
私はお風呂ちゃぽんにしか興味がなかったためエステだのマッサージだののオプションは全くつけなかった。シンプルお風呂ちゃぽんコースだ。

高級高級言うてますけど小金持ちのOLが「自分へのご褒美♡」ってな感じで利用できるレベルなので別に本当のセレブが行くような風呂(そんなものが札幌市内に存在するかどうかすら私にはわからない)ではない。

ポイント使って半額ぐらいになったんだが、それでも物の価値のものさしが狂っているかなこさんは「うむ、それでも高いぞ!」と思ったが、普段の自分の行動を思い返してみると、100円ショップに吸い込まれてはかわいい文房具をかたっぱしから買い漁ったりするなどしているので、それがお風呂ちゃぽんに化けただけだと思って納得した。

ここまで予約するまでの話しか書いていないが、そろそろ実際の風呂の話をしよう。

ホテルJR日航札幌のエントランスからエレベーターで22階に上がるのだが、初めて足を踏み入れてエレベーターの場所をきょろきょろ探していたらスタッフのお嬢さんが「お困りですか?」と声をかけてくれてエレベーターまでの道のりを教えてくれたので「高級ホテルのホスピタリティは違いますなぁ!!!」と無駄に感動した。

スパの受付からも初めての利用のお客さんにはスタッフさんが施設の説明をしてくれて、わからないことにも答えてくれたので「高級スパのホス(以下略」ってなった。

ちなみに、休憩所やカフェなど含め、男女フロアは完全に別になっているため、休憩室にうるせぇおっさんがいるみたいなことはない。
ちなみに休憩室含めフロア内写真撮影はNG(スタッフ談)とのことなので今回なんの写真もない。
あれだけの眺望が撮れないのは残念なのだが。
心のシャッターに納めろってことだね!

ロッカーに荷物等を入れガウン(ダラダラ着)に着替え、お風呂場にGO。

基本的なアメニティ(シャンプー、リンス、ボディソープ、クレンジング、化粧水、乳液)などは揃っているのでよっぽど普段使ってるものにこだわりがなければ手ぶらでOK。

ちなみにヘアアイロンはなかったので持参(備え付けのすごく風量の強いドライヤー、あとくるくるドライヤーの貸し出しは行っていた)

あと、タオル使い放題だけど、ごしごしタオルは無いから持って行った方がいい。

浴場内は水深120cmのプールみたいなお風呂(ジェット水流が出たりするのでマッサージ効果や運動になる)や、ぶくぶく泡の出るお風呂、天然温泉の3つの湯舟にフィンランド式のサウナ(90℃くらい)、アロマの焚かれたミストサウナ(この日はペパーミント)、そして水風呂といった感じ。洗い場もたくさんあってきれいだった。

土曜日は混雑するかと思ったが、私の行った14時過ぎぐらいは5人ぐらいしかいなかったので比較的快適だった。

どのお風呂もぬるめの温度設定になっているので、長く入っていてものぼせないのがありがたかった。私はすぐのぼせてしまうので。

様々なお風呂を順繰り順繰り楽しみ(料金の元を取りたいからな!)、「あ~~~~~気持ちが良すぎて出たくねぇ~~~~~」ってなった。
温泉の湯舟はタイルが白っぽいので、大きな窓から入って来る外光が水面で屈折し、水面が揺れると虹の帯がゆらゆらと広がっていくのが見えて、楽しくてしばらく見てしまった。

 

一番よかったのはぶくぶくするお風呂で、あまり混んでいなかったので独り占めできた。もちろん他の人も入るのでタイミング見計らって入ったり出たりしたけど。

昔、父の勤めていたデパートの保養所の浴場にもぶくぶくお風呂があって、私はその風呂が大好きだったんだけど、なんかそれを思い出した。
他にお客さんいなかったら貸し切りみたいに使えて最高だったんだけど、デパートは経営破綻してしまい、保養所は別の運営会社に買い取られたとかなんとか。

あと、窓から見えた札幌の北側の街並みが、アスティ45にあった炙り屋(今は無い)で祖父や祖母含め家族でごはんを食べたときに見えた風景に似ていてなんだかノスタルジックな気持ちになった。
そのときは夕日が見えてて、遠くに石狩湾が見えて、カスベの唐揚げを初めて食べておいしかったなぁ。とか。

初めて来た場所なのになんかちょっと懐かしい気持ちになった。

きっとマジックアワーに来たり天気が良かったりすると全然風景が違って見えるんだろうなと思ったけど、きっとその時間帯狙ってくる人は多いんだろうな。
私は銀色の曇り空の下の札幌の風景も好きなので大満足だった。

休憩所に併設してカフェがあり、軽食やドリンクを注文できる。
行った時間帯のせいか、ちょっと人手が足りてなさそうだった。
ゆずソーダとチョコレートアイスを注文。

リクライニングチェアーに座り、街を眺めながらだらだらアイスを食う。
ここは天国か、、、
雑誌などもあったが、自分で本を持参するのもよさそうだと思った。
テレビなどもないので読書に集中できそう。
横にいたおばさんはハードカバーの本を持ち込んでいた。

母が最寄駅に父を送りに行くタイミングに合わせて出なければならず、帰りはバタバタしていて化粧をし忘れすっぴんで帰ってしまった。
なんということだ。

とにかくきれいだし静かだし最高だったのでまたじゃらんのクーポンやらポイントやらあったら行ってみたい。

こういう風な時間の使い方も全然アリだなと思った。
休日家でだらだら過ごすってのもまぁそれはそれなんだけど、ちょっと足を延ばして金を出せばこんな天国みたいな体験ができるという知見を得たのは大きい。
大人は自分の稼いだ金で好きなことができてめっちゃ最高だな~~~~~~。