200131

 

  • 炭鉱怪談の話

犬鳴村の映画が観たい。

犬鳴村とは有名な都市伝説であるが、実際犬鳴村というヤバい村があってヤバい人が住んでいるということしかわからない。

北センチネル島かよ。

何故福岡の山間にそのような村があるというような話が生まれたのか。

気になって調べてみたところ、立教大学学術リポジトリ、鳥飼かおる「犬鳴村のうわさ : 「異界としての犬鳴」にまつわる一考察 」という論文を見つけた。

筑豊炭田の歴史と絡めた考察でなかなか面白かった。

立教大学学術リポジトリ - 立教大学学術リポジトリ

残穢」に出てくる奥山怪談や、野坂昭如「骨餓身峠死人葛」など、九州の炭鉱にまつわる暗い歴史をベースとした話は興味深いものがある。

炭鉱という閉鎖的な空間で強制的に労働に従事させられたたくさんの人間がいたことや、そのコミュニティの中でのヒエラルキー、劣悪な労働環境、そこから逃れることもできない地獄で地獄を煮詰めたようなそんな世界が近代の日本に存在していたというのがおそろしい。

北海道もかつてはいくつも炭鉱があったが、九州の炭鉱の話はそれとはまた違った趣がある。

北海道の炭鉱の怪談といえば、雄別炭鉱の話が一番有名ではなかろうか。

雄別炭鉱の廃墟に肝試しに行ったカップルだか友人同士だか或いは拉致された女だったかが廃病院の地下に置き去りにされ、翌日発見されたら気が狂っていた。という話。

これは普通に炭鉱夫の霊を見たことにより恐怖で気が狂った、という解釈だろうと思うのだが、これは霊的な恐怖なので、人間が怖いみたいなのとは種類が違う。

北海道は土地柄、開拓史にまつわる陰惨な話がたくさんあるのだが、自分の住んでいる土地がどういう場所でどういうふうな歴史の上に成り立っているのかを知るのは悪くないことだと思う。悪趣味な好奇心だが。

「このようなことがあったのだ」ということが真実なのか虚構なのか、それを確実に判断するということはできないし、過去にあった出来事というのは往々にしてあっという間に忘れ去られてしまうものだが、「そういったことがあったのかもしれない」という想像力を持つことは大切だと思う。

だから、歴史に関して正しいとか正しくないとかよりも、そういう時代を生きてきた人々の声なき声に耳を傾け丁重に拾い上げていくことでこの先我々がどうしていくべきなのかを考えるきっかけや手掛かりにするべきなのだ。

経済成長にしろ開拓にしろ、その裏に隠されている声なき声というのは人々の噂話として形を変えながらその薄暗いどろどろとした恐ろしい部分だけが後世に伝えられていくものなのかもしれない。

 

  • 近所のアイスキャンドル

 怪談の話の後だと百物語感が出てしまうので失敗した。