最近のホラー作品鑑賞履歴

今年の夏はフェスもない海もないアイドルとホラーしか摂取していない。

 

お盆期間などにめちゃめちゃ実話怪談本を読んだり映像作品を見たりしていたのだが全く感想を書く時間がなかったのでざっと書き出す。めちゃめちゃ長い。

 

 

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呪怨のためにネットフリックスに加入した。

呪怨シリーズといえば伽耶子と俊夫(あとネコちゃん)だが、今回のドラマシリーズでは一切出てこない(霊的な女が出てくるが伽耶子なのか、、、?)

一つの家に関わったものに不幸なことが起きるというテーマは一貫しているが、霊的な何かが出てきて恐怖に陥れるというより本当に家によって狂わされていく人々という感じ。

80年代末から90年代に実際に起こった凶悪事件を交えながら描かれるドロドロの人間ドラマは日本社会の負の部分を煮詰めて凝縮したような陰鬱で陰惨な内容になっている。

その中でもトップギアでとんでもなく不幸な運命を辿る聖美を演じていた里々佳さんという女優さんがめちゃめちゃにかわいいのでインスタグラムをフォローした。とってもかわいい!

 

関テレ制作のオムニバスドラマ。

ホラーレジェンド鶴田法男をはじめ矢口史靖(スウィングガールズ等)、黒沢清(CURE、回路、クリーピー等)といった大御所監督が演出を手掛けていたりするのでめちゃめちゃクオリティが高い。

私は当時リアタイしていたのだが、その内容たるや未だにトラウマレベルである。

ソフト化されているものの現在は全て入手困難。が、日本映画チャンネルの無料日に3本連続放送されるという素晴らしい機会があったので全部永久保存版にすべく録画した。

 

  1. 先生、僕が見えますか

ほのぼの系。若い頃の坂井真紀がかわいい。

  1. たたり

ガチ怖トラウマ級。霊の描写が怖い。The鶴田法男ってかんじ。

  1. 悪魔の選択

ブラックユーモア。真野きりなさんの90年代バリバリのオリーブ少女感のある悪魔がとってもかわいい。犬がコンクリートブロックにつぶされる部分の描写が秀逸。かわいい。

  1. 呪われた課外授業

吸血鬼の話。市川染五郎石丸謙二郎が出ていて豪華。ゴシック。

 

  1. 恐怖心理学入門

このドラマシリーズの中で断トツで気に入っている(今回O.A.されていない「学校の怪談G」の「木霊」と並ぶ。呪怨のサブエピソードも入っているのでいつかこっちもやってくれー。)。

若い頃の安藤政信がとてもカッコいい。まだ凄腕の祓い屋じゃない頃の安藤政信

シチュエーションや要素によってありもしないものを見るという実験かと思わせてのあのラストシーンはまさにトラウマ級。教授役で筒井康隆が出演。

  1. アサギの呪い

女子高生が学校地下に閉じ込められて恐ろしい目に遭う話。

救いが全くない。こちらもよくネットでトラウマ話として挙げられる。

  1. ドロップ

ほのぼの系。野球の話。根津甚八がとてもよい。

  1. おぞけ

霊的な恐ろしさと人間的な恐ろしさ、そして科学的な恐ろしさがミックスされた凝った内容。結構こわい。絶叫マシンに乗りたくなくなる。

 

  1. 怪猫伝説

コメディ。若い頃の深津絵里がめちゃくちゃかわいい。ネコチャン!

  1. 何かが憑いている

ガチ怖トラウマ級。池脇千鶴の演技力が冴えわたっている。

霊に取りつかれどんどんおかしくなっていく友人の描写が恐怖。

演出:鶴田法男×脚本:三宅隆太の絶対間違いなく怖いコンビが手掛けている。

  1. 俺たちの文化祭

ほのぼの系。時空がゆがむ話。

  1. 花子さん

演出が黒沢清節全開。今までの花子さんの概念をぶっ壊す高身長赤ワンピースの花子さんが襲い来る!! 若い頃の加藤晴彦加瀬亮が出ていて私がうれしい。

 

 

異界探訪記 恐い旅

事故物件怪談 恐い間取り2

映画に向けて積読になっていた恐い旅と新たに刊行された恐い間取り2を一気に読んだ。

恐い旅は心霊スポットに行きまくったエッセイなのだが、別におばけが出たりとかはなく、普通に旅っぽい内容なのだが、それと全く同じテンションでふいに不可解な出来事がさらっと書かれていたりする。

恐い間取りもそうなのだが、お化けが出るとか怪奇な現象が起きるだとかそういうものを必要以上に恐れずに日常の中に「あたりまえに存在するもの」という温度感で描いている分だけ自分にもそういうことが起こりえるかもしれない。という怖さがある。

どちらの本もユーモアも感じられて読みやすく面白い。

心霊スポットに行ったり事故物件に住んだりするのはともすれば不謹慎でばちあたりな感じなのだが、著者が決して面白半分ではなく死者や怪異に対し畏敬の念をもって接している感じが好感が持てる。

 

東京怪奇酒【電子特典付】

押切蓮介のお友達として私の中ではおなじみの清野とおるが怪奇現象が起こる現場で飲酒をした模様を綴ったコミックエッセイ。普通にそれだけだとばちあたりな感じがするが、清野氏もまた、怪異に対し必要以上に恐れたり敵対視したりはせず、フラットな感覚で向き合っていると感じられる部分、好感が持てる。

 

  • 服部義史「恐怖実話 北怪道」「蝦夷忌譚 北怪導」

恐怖実話 北怪道 (竹書房文庫)

蝦夷忌譚 北怪導 (竹書房怪談文庫)

実話怪談ギアが入ってしまったので、前から気になっていた北海道の実話怪談本を手に取る。地名などはぼかして書いてあるのだが、普通にイニシャルがガバガバなので全く伏字の意味がない。

怪異が派手すぎてあまりリアリティがない。

アイヌコロポックルを出しておけば地域性が出るだろうみたいな浅はかさがあってよくない。あと霊が悪意を持って描かれているのでつらい。

死者に敬意をあまり感じないので正直あまり好感が持てなかった。

私にはあまり合わなかった。

 

私はおばけを見たことがないので(おばけかどうか判断しかねるものは見たことがある)、おばけがどういうものなのかよくわからないけれど、基本的に生きていたものが死んだ存在(霊)と人の理とは全く別次元の存在(神とか精霊とか妖怪)の2種類に分けられると思う。

元々人間だった存在に対してはなんとなく、元が人間なのだから生きている人と同じようなものなんじゃないかと思う。生きていようが死んでいようが話の通じない人もいるみたいな感じなのだろう。多分。

別次元の存在はこちらのルールが通用しないので遭遇しただけで理不尽に死んだり気が狂ったりする可能性がある。と認識している。

まぁ見たことがないので何とも言えませんが。どっちもあんま見たくもないし。

 

  • 福澤 徹三, 糸柳 寿昭「忌み地 怪談社奇聞録」「忌み地 弐 怪談社奇聞録」

忌み地 怪談社奇聞録 (講談社文庫)

忌み地 弐 怪談社奇聞録 (講談社文庫)

こちらも実話怪談。福澤さんは残穢にも登場する九州在住の小説家兼実話怪談の収集家である。怪談を収集している「怪談社」という団体の糸柳さん・上間さんの2人がそれぞれ会談を収集していく過程を福澤さんが書いたルポルタージュ風の内容になっている。

怪談を収集する土地の特性だったりで一つ一つのばらばらの話が徐々に輪郭を持って立ち上がってくる過程がゾクゾクする。語られる怪異も「もしかしたらあるかもしれない」ぐらいのリアリティなところがとてもいい。こわい。

 

  • 鯛夢「ある設計士の忌録」

ある設計士の忌録 (HONKOWAコミックス)

漫画。業界ものの実話怪談。こちらも家に纏わる話なのだが、建物を建てる・修繕する工務店の人が語り部。古い蔵の解体、怪しげな宗教団体の施設建設、呪術的な建物の建築、神社の改修工事などの現場と怪異のエキスパートである設計士の「先生」の活躍っぷりを描いている。

すべてが三角に統一された家の話は加門七海の本に出てくる「三角屋敷」の話を彷彿とさせて興奮した。

めちゃくちゃ面白い。ぜひとも続刊が出てほしい。

 

NHKでも業界怪談のドラマシリーズが放送されていることなどから(1回目を見逃したのでとてもくやしい。清掃編見たかった~~~!)、これから業界怪談のブームが来るのではないかと私は思っている。事故物件怪談の次は業界怪談の時代が来る

 

  • アメリカン・ホラー・ストーリー「呪いの館」

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前から気になっていた海外のドラマシリーズ。せっかくネットフリックスに入ったので見た。たくさんシリーズがあるのでとりあえず1作目を見てみることに。

1のテーマは「呪いの館」。事故物件である。

生きている人間と死んでいる人間が非常に分かりにくいように作られているので最終的にどれだけの人間が死んでいるのか予想してみるのもいいかもしれない。

「お前もか!お前も死んでるんか!」ってなる。

あとエロい。貞操観念がぶっ壊れている。

 

 

ご存じ、松原タニシ原作、亀梨和也さん主演の話題作である。

はっきりと言おう。ホラーではなく、事故物件バトルアクションラブコメディ。

中田監督といえば、「女優霊」「リング」仄暗い水の底から」といった作品群で90年代のJホラーブームを代表する監督というイメージであるが、近年は「スマホを落としただけなのに」等、ホラーにとどまらない作品を撮っている。

私が直近で見た作品は「貞子」だが、個人的にはいまいちハマりきれなかった。

今回の「事故物件 恐い間取り」に関してもJホラー的なものを求めて見に行くと肩透かしを食らわされることになる。見終わった後は「何故、、、」って感じだったのだが、監督のインタビューを読んで「なるほど、意図的にそれを避けたんだ、、、」というのがよくわかった。

『事故物件 恐い間取り』怖さは時代で変化する――中田秀夫監督と考える、現代ホラー論【Director's Interview Vol.74】

https://cinemore.jp/jp/news-feature/1599/article_p1.html

 

エンタメに振り切ったホラー作品でいうと、近年では「貞子 vs 伽耶子」「来る。」が圧倒的だったわけだが、「事故物件 恐い間取り」はそのカテゴリに該当する作品だったのかもしれない(除霊バトルあるし)。

 

だが、事故物件という題材であればもっと家に帰りたくなくなるような「残穢」的なものを求めたくなってしまうな俺は、、、

ローストビーフ丼にウニ乗せて食いたくないじゃん?(わかりにくい例え)

 

以下Twitterから直後の感想。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに、中田監督は現在放送中のドラマ「恐怖新聞」の演出を行っているが、こちらはとてもよいです。めっちゃ面白い。

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東海テレビ制作ドラマのドロドロ感と人間模様にホラーの要素がいい相乗効果になっている。シリーズ構成は乙一さんだそうです(乙一さんが監督をやったシライサンはまだ見れていない)。

中田監督、最近はサスペンスとかアクションとかが好きっぽいのでじわじわくる静謐なJホラーよりこういうジェットコースターホラーが相性いいのかも。