191030

創作文章

今日の三題噺。

 

 

  • 【お題】北極星、一ヶ月、ミシン

私は縫製を生業としている。

依頼があればヨットの帆からウエディングドレスまで何だって縫った。

一ヵ月前に飛び込んだ依頼はオーロラを縫ってほしいというものだった。

電子線を縫うと手がしびれてしまうのでゴム手袋を付け、眩しいのでサングラスも必須。

寝る間も惜しんでミシンを踏み続け、ようやく出来上がったオーロラを北極星宛に速達で送りつけた。

これはフェアバンクス上空で光るらしい。

 

  • 【お題】ヒョウ、舌、薬屋

屋根裏にヒョウを匿っている。

白地に花のような斑点がついた美しいユキヒョウだ。

家の裏にある寂れた動物園の殺風景な檻の前を通るとユキヒョウが話しかけてきた。

今夜自分は薬の材料として薬屋に売られ殺されてしまうのでどうか助けてくれないか。と。

私はこっそり檻の鍵を開けてユキヒョウを連れ出した。

私の頬を長い舌でべろべろと舐めるユキヒョウは大きくてもやっぱり猫だなぁ。と思った。