ハロー終末いかがお過ごしでしょうか。
世界が終わっていますね。
そんな世界の終わりに紅茶飲み干して楽しみたい終わる世界を描いたいくつかの作品について。
- 三原ミツカズ「WORLD’S END」
- 青山剛昌「夏のサンタクロース」
- 道満晴明「メランコリア(上)(下)」
- butterfly inthe stomach「ダムスのシナリオ」
- チャットモンチー「世界が終わる夜に」
- ぼくのりりっくのぼうよみ「Noah’s Ark」
-
三原ミツカズ「WORLD’S END」
(「beautiful people」収録)
恋人とケンカして腹いせに「失踪してやる!」と酒場で会った男を巻き込んでシェルターで一週間引きこもっていたら細菌兵器により世界が終わってて全人類死んでしまった中で生き残ってしまったレズビアンとゲイの話。
めちゃめちゃこの二人はケンカばかりするし性的嗜好が噛み合わないので恋人になったりはしないのだがそれなりに仲良く(?)終わった後の世界を生きている。
三原ミツカズ先生のゴシックな世界観の作風と世界の終わりはとても相性がいい。
作中、THEE MICHELLE GUN ELEPHANT「世界の終わり」の一節“世界の終わりが そこで見てるよ”が引用されている。
-
青山剛昌「夏のサンタクロース」
(「青山剛昌短編集」収録)
恋人に振られ酔っぱらって24時間後に地球を爆破する核兵器を起動させてしまった高校生。心因性の記憶喪失ということでストレスをとにかく与えないようにして解除番号を思い出してもらうためにNASAのおっさんに手厚い接待を受け、憧れのアイドルに会ったり真夏の東京に雪を降らせたりやりたい放題するのだが果たして世界の危機は救われるのか⁉
世界が終わるという危機と毎日忙しい日常を抜け出したアイドルの女の子と少年のボーイミッツガールのコントラストが最高にロマンチックでキュンキュンしてしまうので大好きですね。これ確かOVAでアニメ化されてたはず。
「メランコリア」と名付けられた隕石が衝突する世界で起こる様々な人々の様々な出来事。ショートショートの名手道満晴明らしく秀逸な短編が収められているのだが、この作品はいつにもまして伏線回収が鮮やかで素晴らしい。世界は一つでもなく人間の数だけ世界があってそれは隕石が降ってこようがなんだろうが変わらない。
-
butterfly inthe stomach「ダムスのシナリオ」
butterfly inthe stomach / 「ダムスのシナリオ」
(Mini Album「Long Goodbye」、Album「BANK」収録)
ノストラダムスの大予言をモチーフに世界の終わりと関係性の終わりを重ね合わせた青臭いほどの青春感にブチ殺される曲。『世界』というものの捉え方によって、いつだって世界は簡単に終わる。1999年当時私は小学生だったのだが、やっぱりミレニアムと世界の終わりが交錯するあの時代の空気の高揚感というのは特別なものがあって、今こうして実際に今リアルタイムで世界が終わっていく様というのは劇的でもロマンチックでもなんでもなくただただ地獄だし現実なんてこんなもんだなと思う。
-
チャットモンチー「世界が終わる夜に」
割とこの曲が今のムードに一番合っているような気がする。何も変わらないでただただ終わり続けていく世界は今までの世界と地続きでずっとずっと前から世界は終わっていた。この曲の歌詞は徹底的に終わっていく終わり続ける世界を描いていて全く救いがない。世界を終わらせるのは隕石でもウイルスでも核兵器でもなく人間の在り様なのではないかと。
-
ぼくのりりっくのぼうよみ「Noah’s Ark」
youtu.be(Album「Noah’s Ark」収録)
「Noah’s Ark」というアルバムは今聴くとタイムリーな作品だと思う。情報の洪水に飲まれる様というのは今まさに起きている状況そのものだ。とはいえ、果たしてそこから生き延びるためのノアの箱舟を見つけることはできるのだろうか。
他にも、伊坂幸太郎の「終末のフール」や、トーベ・ヤンソン「ムーミン谷の彗星」などの世界が終わる話がある。彗星が多いですね。世界が終わる話で最近ホットだったのは「少女終末旅行」だろうか。
世界が外的な要因で終ろうが終わるまいがいずれ人は死ぬし私の世界もあなたの世界も終わり続けていくしかないのです。せいぜい生きましょう。
それでは、よい終末を。