最近見た映画の話

書かないうちにどんどん月日が経っていく。

 

9月19日に映画を2本ぶっ続けで見た。

 

 


 

  • 窮鼠はチーズの夢を見る 2020・日本 監督:行定勲

 


 
私は百合は好きだけどBLは全然通ってきていない人間なので、見て実際どうなんだろうなと思ったけれど、BLだろうが百合だろうが異性愛だろうが人間がいろいろいてすれ違ったり愛し合ったり憎みあったりするという点では何も変わらないので特にそういうのは関係なかった。
性別関係なく結局全部人間関係じゃないですか。
 
これは完全に偏見なんだけど百合は心理描写が細やかに描かれている印象があるので百合のほうが好きなのかもしれない。性描写がっつりのってあんまり読まないし。
登場人物の心の揺らぎを繊細に描いた性描写メインでないほのぼのしたBLがあったら好きだと思います(きのう何食べたのことじゃないのか、、、?)
 
水城せとな原作の作品を割と続けて見ている。
再放送の失恋ショコラティエ、舞台の脳内ポイズンベリー、そして今回の窮鼠はチーズの夢を見る。
 
この作者の作品は割と最低な感じの男がよく出てくる。
 
今回だと主人公の恭一がかなりクズなわけだが、別に悪意があってクズなわけでもなく、悪意がない故にクズとも云える。
誰も傷つけたくないので人から受け取った好意や愛情を拒絶しないでガンガン受け入れている結果あんな三股だか四股だかしているわけで。
見ながら「うわぁークズやな。」とは思ったのだが、いろんな人から好意を向けられてそのうちのどれか一つしか選ばなければならないっていうのはなかなか実は残酷なことなのかもしれない。
あまりにクズすぎて絶対最後は刺されて死ぬだろ。と思っていたが刺されて死ななかった。
 
但し、恭一は誰も愛していない。拒絶しないだけで。
そんな恭一がきっと初めて「愛」のようなものを知ったのが今ヶ瀬だったんだなぁー。みたいな終わり方。
 
今ヶ瀬もなんでここまでひでぇ恭一のことをずっと好きでいられるんだろう。と思ったしほんとめんどくせぇし粘着質で嫉妬深い拗らせ男なのだが、好きって理屈じゃないから好きになっちゃったらしょうがないよね。ってなった。
好きってなんなんでしょうね。
 
あと性描写がかなりがっつりだったので「うぉーここまでやるんか」ってなった。
身体を張っていてすごい。あと大倉氏、尻がきれい。
頑張って食事制限したんだね、、、
 
雨とか夜明けの海とかカフェとか、画はとってもきれいだなと思った。
あと何気ないけどパンツが並んで干されて風に揺れてるシーン好きですね。
 
 
 

 


本来であれば、昨年公開だったはずなのだが、色々あって、今年も色々あって、ようやくようやく公開された。
 
TVアニメ版でも外伝でももれなく涙腺崩壊していたので今回もヤバいだろうなと思ったが、劇場でめちゃめちゃ泣いてしまった。
周りもすすり泣きがすごかった。
 
誰かが誰かを思うこと、それを言葉にして伝えることが一貫して描かれてきた作品であるが、今回の劇場版にもそのテーマは貫かれている。
 
祖母の死後にヴァイオレットの書いた手紙を発見し足取りを辿る少女、病気で余命少ない少年からの依頼、そしてヴァイオレット自身の少佐への思いの3つのエピソードが並行して進んでいく。
 
特に、TVアニメ版で描かれていた余命わずかな母親が娘宛てに手紙を残すアン・マグノリアのエピソードはこの映画に深くかかわってくることになるのだが、誰かを思う気持ちは時間や命さえも越えていくのだというのはかなりグッとくるものがある。
 
アン・マグノリアのエピソードは、映画「バースデーカード」とネタがまるかぶりなのだけれど、原作が先なのか映画が先なのかよくわからないがどっちもめちゃめちゃに泣いてしまうので私はこういうのに弱い。
 
この「時間や命さえも越えていく」というのは、色々あった中でこうして今、劇場でこの美しい作品が公開されているという状況とも重ねてしまう部分もあり、誰かに何かを伝えようとする思いはとても尊いものだなと。
 
私自身はめちゃめちゃ薄情な人間だし誰かに何かを伝えるのは苦手だし、アイドルに宛てたファンレターもラジオに送るメールも全然上手く書けない人間だけれど、そういうものを美しいと思える感性だけは残されているんだな、、、ってなった。
 
恭一も今ヶ瀬に手紙を書けよな。

 


誰かが誰かを思う気持ちは尊く美しい。と思う一方、自分自身が他者に対して抱く感情はあまりにも気持ちが悪く、他人から自分に向けられる感情に対してもかなりの苦手意識を持ってしまっているので、自分が手に入れられない代替品として映画や音楽や小説の中にそれを求めてしまっているのだろうと思う。
 
私は他人がこわくて仕方がない。
 
誰かの好意を真っ直ぐに受け止めることも、自分の気持ちを真っ直ぐに伝えることも実際はとても難しいことだ。